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特集:骨粗鬆症治療薬の特徴と使いわけ

No.5055 (2021年03月13日発行) P.18

萩野 浩 (鳥取大学医学部保健学科教授)

登録日: 2021-03-12

最終更新日: 2021-03-11

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1982年鳥取大学医学部卒業。同年5月鳥取大学医学部附属病院整形外科,88年鳥取大学助手,92年同大学講師,2002年同大学助教授を経て,08年より現職。

1 骨粗鬆症の病態とは?
・破骨細胞による骨吸収が亢進し,骨芽細胞による骨形成がそれを補塡しきれず,骨量が減少して骨粗鬆症を発症する。

2 骨粗鬆症治療薬の分類
・骨粗鬆症治療薬は,主な作用から骨吸収を抑制する「骨吸収抑制薬」と,骨形成を促進する「骨形成促進薬」とにわかれる。
・骨吸収抑制薬:窒素含有ビスホスホネート(BP),抗RANKL抗体,女性ホルモン,選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM),カルシトニン
・骨形成促進薬:副甲状腺ホルモン,抗スクレロスチン抗体
・そのほかの薬剤:活性型ビタミンD3,ビタミンK2

3 薬剤の使いわけ
・「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」で椎体骨折抑制効果の評価がAの薬剤,およびそれと同様の評価と考えられる以下の6種類の薬剤から選択する。
BP(アレンドロネート,リセドロネート,ミノドロネート,イバンドロネート,ゾレドロネート),デノスマブ,SERM,テリパラチド,ロモソズマブ,エルデカルシトール
骨折リスクに応じた薬剤選択
・骨折リスクが低い例 ⇒SERM(女性のみ)あるいはエルデカルシトール
・骨折リスクが高い例 ⇒BPあるいはデノスマブ
・骨折リスクがきわめて高い例 ⇒ テリパラチドあるいはロモソズマブ

4 逐次療法
推奨される逐次投与
・テリパラチド(投与期間は2年間)⇒ BPあるいはデノスマブ
・ロモソズマブ(投与期間は1年間)⇒ BPあるいはデノスマブ
・デノスマブ(投与期間に制限なし)⇒ BP

5 治療目標
①治療期間に骨折発生がなく,骨密度Tスコアが-2.5(YAM 70%)よりも高値

②目標達成後の休薬はBPのみ可能

③2~3年おきに骨密度,骨代謝マーカーを評価する

6 骨密度測定にあたっての注意点
・骨密度は腰椎,大腿骨近位部,前腕骨(主に橈骨),中手骨,踵骨が測定部位とされる。
・骨粗鬆症の診断には,X線を使用して測定する骨密度測定装置(超音波法を除く)を用いる。
・気をつけること
①測定部位によって骨密度(YAM値)が異なる:診断には最も低いYAM値を用いる。
②骨粗鬆症治療薬による骨密度は腰椎か大腿骨近位部ではモニタリングできるが,前腕骨や中手骨では変化しないのでモニタリングは不可となる。

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