「疼痛」はあらゆる疾患から生み出される症状のひとつであり,原因は様々で,表現方法として「痛い」を総称するものである。「疼痛」は「疼く痛み」と書くわけであるが,「疼く」には「脈打つような」などの意味があり,「疼痛」すなわち「拍動痛」や「蠕動痛」をイメージするようにも思われる。治療はもちろん「疼痛」を和らげること(鎮痛)であり,ここでは「疼痛」に対する救急対応(治療)について述べていく。
まず,順番は別にして「どこが(部位)」「どのように(性状)」「いつから(急性か慢性的か?)」「どのくらい(強度)」痛いのか?あるいは「どのような(再現性)」「どのくらいの間隔(持続時間)」などといった,訴える「疼痛の特徴」を理解することがとても重要である。この時点では患者自身が主観的な状況を説明しているため,聴取しながら「客観的」に評価する(ほかの医療者と共有できる)ための聴取をしなければならず,コミュニケーションがとれなければいけない。
疼痛に伴いバイタルサインが変化する,あるいは変化していくことはありうるので,まず確認は必須である。疼痛に対して治療を加える際にも,その元となる評価は必要である。診察と治療前後のバイタルサインの変化は経時的に把握しておくことが望ましい。ショック(冷感・湿潤,血圧低下)を伴う疼痛は蘇生処置の要否を考慮して対応する必要がある。
まずは主訴となっている疼痛の部位に関する診察は必須である。最初に体表の観察(視診)・触診で異常の有無を確認すべきである。その上で「圧痛」や,腹部であれば「筋性防御」「反跳痛」などの診察,四肢・関節等の骨格系であれば「可動痛」や「腫瘤触知」等の主訴に結びつく異常所見の確認が必要である。
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