1日尿量400mL以下を乏尿,100mL以下を無尿と定義する。急性発症の乏尿・無尿は急性腎障害でみられることが多く,KDIGO分類stage 3に相当する1)。原因別に腎前性・腎性・腎後性に分類される。排尿障害は排尿時に尿道(口)に感じる痛みを特徴とし,焼けるような感覚,刺すような感覚,かゆみを伴うことがあり,泌尿器科的疾患が示唆される。排尿障害の患者を診察する際,炎症性と非炎症性に原因を大別する。
無尿・乏尿:急性腎障害(acute kidney injury:AKI)をきたす原因(腎毒性のある薬剤投与,脱水を示唆する病歴など)の有無について聴取する(「急性腎障害(AKI)」の稿参照)。
排尿障害:炎症性と非炎症性に原因を大別する(表)1)。症状のタイミングが排尿の開始時ならば尿道由来,終了時なら膀胱由来であることが多い。痛み(腟や尿道局所の症状)の有無を聴取する。妊娠の有無,尿管結石,外傷,腫瘍の既往,最近の泌尿器科的処置の有無,尿閉の可能性について聴取する。また,関連する症状(発熱,悪寒,側腹部痛,腰背部痛,悪心・嘔吐,関節痛,血尿,夜間頻尿,切迫感,回数,尿失禁)について聴取する。高齢者の尿路感染症(urinary tract infection:UTI)ではmental statusの変化が最も高頻度に認められるので,注意が必要である。最近の性交渉についての病歴聴取は必須である。
無尿・乏尿:高カリウム血症による不整脈があれば心拍数や血圧の異常を,代謝性アシドーシスによる代償性の過換気があれば呼吸数の異常を,溢水による呼吸不全があれば呼吸数やSpO2の異常を認めることがある。
排尿障害:全身性の感染症によって意識障害,発熱,頻脈,血圧低下を認めることがある。
無尿・乏尿:頸静脈怒張の有無,呼吸音と心音の聴診,浮腫の有無を確認する。
排尿障害:下腹部の触診(膀胱),直腸診(前立腺)を行う。
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