皮疹の鑑別診断は無数に存在する。非皮膚科医にとって,正確な診断をすることは必ずしも容易ではないが,緊急性や頻度の高い疾患の診断・対応は必要である。緊急性が高い疾患としては,アナフィラキシー,壊死性軟部組織感染症,頻度の高い疾患としては,蕁麻疹,虫刺症,蜂窩織炎,帯状疱疹などが挙がる。
①全身状態悪化を示唆する症状の有無
②発症時期,分布,経過,治療歴
③皮疹発症の契機(運動,薬剤,食物,虫刺され等)
④随伴症状(瘙痒感,腫脹,熱感,疼痛)
皮膚・粘膜症状のほかに,循環・呼吸・消化器の異常を伴う。気道狭窄症状やSpO2低下,血圧低下や意識障害を伴う場合,重症であり,より緊急性が高い。
紅斑のほか,熱感,腫脹,水疱形成を伴い,疼痛がある。頻脈や低血圧などの全身性の症状を伴う。
通常,一過性で数分~数時間の単位で出現し,24時間以内に消失する。瘙痒感を伴うが,疼痛は伴わない。
虫刺症は,虫による穿刺部位の炎症反応であるため,病歴,虫刺口の有無から判断する。山間部に入った後であれば,ライム病,つつが虫病の可能性を考慮する。
マダニ刺咬部を中心とする限局性の環状または均一の特徴的な遊走性紅斑を呈することが多い。発熱,倦怠感などの感冒様症状を伴うことがある。進行すると,他臓器の異常を認める。
体幹部を中心とした皮疹を認め,特徴的なダニの刺し口がみられる。典型例では高熱を伴って発症する。リンパ節腫脹,肝酵素上昇を認めることが多く,進行すると播種性血管内凝固症候群を合併することがある。
発赤のほか,腫脹,熱感,疼痛を認める。通常,片側性である。
三叉神経または脊髄後根神経節内に潜伏感染している水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症する。同神経支配に沿って,帯状の分布を呈する。疼痛が先行するか,ほぼ同時に浮腫性紅斑と小水疱が生じる。原則的には片側性であるが,稀に両側性のこともある。両側性の場合,免疫低下の可能性を考慮する。
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