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【一週一話】手術室の災害対策:地震

No.4725 (2014年11月15日発行) P.47

西野京子 (秋田県立脳血管研究センター麻酔科診療部部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-17

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  • 手術中に地震が起きたならば,スタッフの安全を確保し,生命のすべてを我々(医療者)に託している患者の身を守り,手術を速やかに終了させ,患者を覚醒させることが最も大事である。そのためには,地震に強い手術室を作り,手術室の機能を維持するためのライフライン(医療ガス,電気)1)の対策をとっておくことが大切である。

    防災科学技術研究所で行われた実験のDVD「大地震,その時病院は…」「大地震への備え」は,地震を疑似体験でき,対策を考えるときに参考になるので紹介する。

    手術室では,キャスター付きのカートや麻酔器は,部屋中走り回り,転倒する。つながれているホースや電源コードは引きちぎられる。カートの引き出しは抜け落ち,戸棚の棚板は脱落し,中の物品は散乱する。無影灯はくるくる回り,患者は手術台から放り出される。平時にこれらの対策をとっておくと,被害を最小限に抑えることができる。具体的には,キャスターはロックしておく。ロックしたものは転倒しやすいので,できるだけ手術室内には置かない。引き出しは脱落防止機能の付いたものを用い,ロックしておく。無影灯はブレーキロックのメンテナンスをしておく。患者は抑制帯または側臥位支持器で固定しておくなどの対策が考えられる。

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