【質問者】
高橋 悟 日本大学医学部泌尿器科学系主任教授
【BRCA変異があった場合にポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬が使えるようになった】
去勢抵抗性前立腺癌は「去勢(ホルモン)療法によって血液中の男性ホルモンの濃度が低い(50ng/dL未満)にもかかわらず,がんが進行あるいはPSAの値が上昇している状態」の前立腺癌と定義されます。初発時に進行し転移があるような前立腺癌でも,男性ホルモン依存性でホルモン療法が著効することは古くから知られていました。しかし,効果があっても必ず「去勢抵抗性」になり,この病態に対する効果が明らかな治療方法はありませんでした。
そのような中,2008年にドセタキセル,2014年にはエンザルタミド,アビラテロン,カバジタキセル,2016年に塩化ラジウム,2019年にはアパルタミドが承認され,この10年における去勢抵抗性前立腺癌に対する治療の変遷には目を見張るものがあります。一方で,これらの新規治療薬の投与順に明確なものはなく,またその効果を予測できるマーカーもないため,「まずは投与してみて,その効果をみる」ことになります。最近では,去勢抵抗性になる前にこれらの新規治療薬を併用することが生存期間を延ばすことが明らかになり,どんな患者にも「とりあえずホルモン療法のみ」を行う時代は変わりつつあります。
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