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【一週一話】尿中バイオマーカーの現状と将来

No.4769 (2015年09月19日発行) P.53

守山敏樹 (大阪大学保健センター教授/大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • バイオマーカーとは,米国のバイオマーカー定義ワーキンググループによれば,「客観的に測定され,評価される特性値であり,正常な生物学的プロセス,病理学的プロセス,または治療的処置に対する薬理学的反応の指標」である1)

    臨床検査項目はある意味すべて「バイオマーカー」であり,医療現場では日々バイオマーカー情報の収集とその解釈によって診断,治療がなされる。しかし,臨床検査項目には臓器障害がある程度重症化,顕在化してからしか異常を示さないものや,臓器特異性が低いものも多く含まれており,臨床医学を複雑にしている1つの要因と考えられる。

    尿中バイオマーカーは,全身の疾病を反映しうるし,悪性腫瘍の早期発見目的での研究なども活発に行われているが,ここでは腎臓領域に限定して記述する。

    慢性腎臓病(CKD)は,腎機能(糸球体濾過量:GFR)低下および,腎に関するその他の検査所見異常によって定義され,GFRおよび尿蛋白(尿アルブミン)の量により重症度が分類されている。CKDの重症度によって,末期腎不全のみならず心血管イベント発症も予測可能となっている。CKD診療の最大の課題の1つは原疾患の同定であるが,診断技術が進歩した今日でもなお,腎生検なしで原疾患を特定することは困難である。CKD診療では,腎機能低下速度は比較的緩徐であり,腎機能は血中CrもしくはシスタチンC濃度による推算GFRによって評価される。

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