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■NEWS 【欧州心臓病学会(ESC)】植え込み式心電計を用いた無症候性心房細動検出は転帰を改善せず:RCT“LOOP”

登録日: 2021-08-31

最終更新日: 2021-08-31

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スマートウォッチなどの簡便なデバイスを用いて、無症候性の心房細動(AF)検出が可能になりつつある。しかし、そのような積極的なAF検出は脳卒中・塞栓症の抑制につながるのだろうか? ランダム化試験(RCT)“LOOP”の結果は否定的だった。827日よりWeb上で開催された欧州心臓病学会(ESC)学術集会にて、Jesper Hastrup Svendsen氏(コペンハーゲン大学、デンマーク)が報告した。

LOOP試験の対象は、7090歳で、高血圧、糖尿病、脳卒中既往、心不全のいずれかを有し、AF(含・既往)を認めない6004例である。ペースメーカー植え込み例と抗凝固薬服用例は除外されている。

平均年齢は75歳、男性が53%を占めた。CHA2DS2-VAScスコア中央値は4だった。

これら6004例は、心電用レコーダ(Reveal LINQ)植え込み(ILR)群と、通常観察群にランダム化され、64.5カ月間(中央値)観察された。ILR群では、6分以上持続するAFが検出された場合、医師から抗凝固療法が推奨される仕組みになっていた。

その結果、AF検出率は、ILR群で31.8%となり、通常観察群の12.2%を有意に上回った(HR3.1795%CI2.813.59)。そして経口抗凝固薬開始率も、ILR群は29.7%AF検出例の91.0%)と、通常観察群(13.1%AF検出例の86.5%)よりも有意に高値となった。なおSvendsen氏によれば、抗凝固療法に用いられた薬剤は、ほとんどがDOACだったという。

にもかかわらず、1次評価項目である「脳卒中・全身性塞栓症」リスクは、両群間で有意差を認めなかった(ILRHR0.8095%CI0.611.05)。同様に、2次評価項目の1つである「脳梗塞・TIA・動脈塞栓症」HRも、0.920.731.15)と有意差を認めなかった。一方、大出血HR1.260.951.69)とILR群で増加傾向を認めたものの、総死亡HR1.000.841.19)と同等だった。

1次評価項目で有意差が得られなかった理由として、ディスカッションでは以下が指摘された。

1)まず治療対象として考慮すべきAFを「6分以上持続」とした点である。RCTASSERT”追加解析では、無症候性AFに伴う「脳卒中・塞栓症」リスクの著増が認められたのは、持続時間が24時間を超えるAFだった。そのためLOOP試験ILR群では、必要のないAF例に対しても抗凝固療法が実施された可能性を否定できない。

2)また対照群におけるAF検出・治療開始率(13.1%)は、試験設計時に想定されていた3%を大きく超えていた。そのため、想定していたほど、両群間の抗凝固療法実施率に差がつかなかった(この高い検出率の理由は不明)。

3)両群間の1次評価項目カプラン・マイヤー曲線の乖離が始まったのは試験開始の23年後だったため、観察期間がより長期に及べば、有意差に至った可能性がある。

4ILR群の非AF例で発生した脳卒中が、治療効果をマスクした可能性はないか―などである。

本試験は研究者主導で実施され、Innovation Fund DenmarkThe Research Foundation for the Capital Region of DenmarkMedtronicなどから資金提供を受けた。また報告と同時に、Lancet誌ウェブサイトで公開された。

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