【質問者】
新山史朗 東邦大学医療センター大橋病院皮膚科准教授
【DLSTはステロイドの投与量がプレドニン®40mg/日以下なら施行可能である】
DLSTは薬剤に特異的に反応して増殖するT細胞の反応を測定しているため,ステロイド内服中は施行すべきではないと思っている医師は少なくありません。しかし,本法はあくまで薬剤添加群と非添加群のリンパ球の増殖反応の比を見ているため,ステロイドが投与されていても40mg/日までであれば,添加群だけでなく非添加群の増殖反応も抑えられ,結果としてその割合であるstimulation indexはあまり低下しないのです。もっとも,プレドニン®60mg/日以上,パルス療法などの際には確かにリンパ球の増殖反応は著明に抑えられてしまうため,DLSTは見送るべきであると言えます。
筆者らはDLSTを行う最適時期を調べるために,様々な臨床型の薬剤で様々な時期に採血した検体を用いてDLSTを行いました。その結果,Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)をはじめとする多くの薬疹において,発症から2週間以内の急性期の検体を用いるほうが,陽性反応が起こりやすいことを明らかにしました1)。しかし,薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)ではこれと逆に急性期では陽性になりにくく,発症から2カ月以上経過した回復期に調べるほど陽性になりやすいことがわかりました。この結果は当初,ステロイド投与中は陽性になりにくく,投与終了後に陽性になりやすいことを示していると間違って解釈されましたが,SJS/TENではそのようなことはないことがわかり,どの臨床型であろうとステロイド投与中でもプレドニン®40mg/日以下であれば,急性期の検体を用いるほど,陽性になりやすいことがわかりました。
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