尿管狭窄(ureteral stricture)は,外科手術や放射線治療などに続発する医原性狭窄が約半数を占める。側腹部や背部の疼痛,緊満感が主症状であるが,慢性例では無症状であることも多く,発見時には既に腎機能障害が進行している例もある。バルーン拡張や尿管鏡下切開などの内視鏡的治療は低侵襲だが効果は限定的で,根本的な解決には狭窄部位,狭窄長,治療歴に応じた外科的治療(尿管再建)を要する例が多い。
尿管狭窄の大半は医原性である。尿管結石の治療歴,子宮や大腸など骨盤臓器の手術歴や放射線照射歴の有無を聴取する。また,腹部外傷に続発する狭窄,虫垂炎や憩室炎の波及による炎症性狭窄,後腹膜線維症による狭窄も散見されるので,関連する疾患の既往を詳細に聴取する。
患側の側腹部や腰背部の疼痛や緊満感,腎盂内圧の上昇による嘔気,血尿,腎盂腎炎の併発などが代表的な症状である。経過が緩徐な慢性例は無症状であることが多い。
尿管狭窄を疑ったら,まず腹部超音波検査で患側の水腎症,腎実質の菲薄化の有無を確認する。さらに,腹部骨盤部CT検査で悪性疾患による二次的な尿管閉塞(原発性尿管癌,下部消化器がん,婦人科がんのリンパ節転移や直接浸潤による尿管閉塞)を除外しておく。次に狭窄部位,狭窄長の評価のために逆行性腎盂造影を行う。水腎症と尿管狭窄の程度により尿のドレナージが必要な状況であれば,引き続いて尿管ステント留置や腎瘻造設を行う。
尿管狭窄の治療は,バルーン拡張や尿管鏡下切開などの内視鏡的治療と外科的治療(尿管再建)の選択がある。内視鏡的治療は尿管再建に比べて低侵襲で短期間の入院で治療が可能である。狭窄長2cm以下で内腔の保たれた瘢痕の薄い狭窄に対しては70%程度の成功率が報告されている。一方,狭窄長2cm以上で瘢痕の厚い狭窄に対しては成功率20%程度と効果が乏しい。内視鏡的治療で再狭窄を繰り返す例,炎症や感染を伴って癒着や肥厚が強い例,内腔が閉塞している例は初めから尿管再建を選択することが望ましい。尿管再建は開放手術,腹腔鏡下手術の選択があり(海外ではロボット支援下手術の選択もある),術式は狭窄部位,狭窄長,狭窄の原因や治療歴を念頭に置き検討する。いずれの尿管再建も成功率は高く,おおむね90%を超える。以下に各部位別の尿管再建の選択について述べる。
残り869文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する