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特集:インスリン導入&レジメン変更のタイミングと治療戦略

No.5085 (2021年10月09日発行) P.18

蛭間重典 (東邦大学医療センター大森病院内科学講座糖尿病代謝内分泌学分野)

弘世貴久 (東邦大学医療センター大森病院内科学講座糖尿病代謝内分泌学分野教授)

登録日: 2021-10-08

最終更新日: 2021-10-07

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蛭間重典
2015年東邦大学医学部卒業。同年より国立国際医療研究センター国府台病院にて研修。2017年より東邦大学医療センター大森病院でレジデント勤務。2018年東邦大学大学院入学。異所性脂肪蓄積とインスリン感受性について研究中。

弘世貴久
1985年大阪医科大学医学科卒業,大阪大学大学院医学研究科内科学1992年修了。米国NIH visiting fellow,西宮市立中央病院内科医長,順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座 講師,同大学院代謝内分泌内科学助教授を経て,2012年より現職。

1 インスリン導入のタイミング
・医師自身がインスリン治療の意義と適切な導入時期を把握し,患者に提示する必要がある。
・実状は“クリニカルイナーシャ”により治療強化が遅れてしまう傾向にあり,忌避すべきである。
・インスリン治療には将来的な膵保護効果が期待されている一方,SU薬では膵疲弊を引き起こす危険性が示唆されている。
・そのため余命が長く見込まれる若年糖尿病患者においては,SU薬で時間を稼ぐよりも,早期にインスリン導入をしたほうが好ましいと考えられる。
・2型糖尿病患者の慢性的な経過の場合,ビグアナイド薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬・チアゾリジン薬などから3剤併用しても十分な血糖降下が得られなければインスリン治療の導入を検討する。
・インスリン投与初回においては,患者ごとのインスリン感受性が不明のため,すでに内服中の糖尿病治療薬は減量せず,ただインスリンを上乗せすることが望ましい。

2 患者の手技獲得がレジメンの選択肢を広げる
・手技指導の時間が十分に確保できない場合,自己注射手技の獲得を確認してから段階的にSMBG(血糖自己測定)手技の導入を行う。
・患者が手技を確実に獲得し容易に注射やSMBGができるようになれば,投与回数や投与時間などレジメンの選択肢が広がる。
・個々の患者が自己注射手技を獲得可能か判断するために,1分間で外来実施可能なスクリーニング技法(質問法)がある。
・自己注射不可能な患者には環境調整とレジメンの工夫が必要である。

3 レジメン変更のタイミング
・基礎インスリンと追加インスリンの概念を理解する。
・血糖値の数値自体ではなく,前後の変動量(差分)に着目する。
・日本人では朝食後と夕食後が高血糖になりやすく,必要な追加インスリン量が多くなる傾向がある。
・基礎インスリンは4〜6単位,追加インスリンは4単位から投与を開始し,責任インスリンの考え方をもとにSMBGでの血糖変化に留意しながら,インスリン用量を増量していく。
・経過の中でインスリンを減量していくケースでは,4単位の投与でも十分な血糖降下を認める場合は経口薬への置き換えを検討できる。

4 インスリン製剤の選び方─配合剤も含めて
・基礎インスリンでは,作用持続時間の長さをもとに製剤を選択する。
・たとえばトレシーバ®は42時間作用が持続するため,注射タイミングが多少前後してしまっても効果が途切れることがない。
・追加インスリンでは,血糖降下作用の立ち上がり速度をもとに製剤を選択する。
・たとえば近年発売されたルムジェブ®とフィアスプ®は薬効の立ち上がりが早いため,従来の食事15分前投与ではなく食事2分前投与を可能とし,打ち忘れや不慮の低血糖を防ぎやすくなった。
・超速効型インスリンと持効型インスリンの配合注であるライゾデグ®を活用することで,1日の注射回数を減らすことが可能である。
・持効型インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合注であるゾルトファイ®とソリクア®は,持効型インスリンの上位互換とみなして,基礎インスリンを導入するタイミングで,持効型インスリンの代わりにいきなり使用を開始することも可能である。

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