気管支喘息は,発作性に起こる気道狭窄によって,咳嗽,呼気性喘鳴,呼吸困難を繰り返す疾患である1)。組織学的には気道炎症が特徴で,小児でも気道リモデリングが認められる。呼吸生理学的には気道過敏性の亢進から引き起こされる気流制限が特徴である。小児喘息ではアトピー型が多く,特異的IgE抗体が高率に認められる。
臨床的には,反復する発作性の喘鳴や呼吸困難があり,β2刺激薬吸入にて改善することで疑う。しかし,喘鳴をきたす喘息以外の疾患を除外することが重要である。長期管理薬を開始,治療ステップを上げてもコントロール不良な場合には診断を見直す。
また,喘鳴が生下時から常にある,完全には軽快しない,主に吸気時喘鳴である,成長障害を伴う,などの場合は,特に鑑別を要する。
基本的に「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020」の方針に従う。急性増悪(発作)の際は発作強度を評価する。症状(興奮状況,意識,会話,起坐呼吸),身体所見(喘鳴,陥没呼吸,チアノーゼ)を診察する。客観的な指標としてSpO2が参考になり,96%以上あれば小発作,92~95%で中発作,91%以下では大発作と判定されるが,上記の症状・所見の重症度も考慮する。発症からの時間,増悪の原因,長期管理薬の有無・内容,今回の受診前に行われた発作時治療についても把握する。
急性増悪(発作)が落ち着いたら,次の目標は長期管理にて気道炎症を抑制して再増悪を防ぐことが重要である。重症度を判定し,対応する治療ステップの基本治療から開始する。増悪時の家庭での対応の説明,患者教育も重要である。近年,小児でも重症喘息に対しては抗IgE抗体などの生物学的製剤が保険適用された。良好なコントロール状態を3カ月以上維持できたときには,増悪予測因子を考慮しながらステップダウンを検討する。
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