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頸部のみで聴こえたウィーズ[聴いて覚える肺聴診ギャラリー(24)]

No.5242 (2024年10月12日発行) P.12

長坂行雄 (洛和会音羽病院/洛和会京都呼吸器センター参与)

登録日: 2024-10-15

最終更新日: 2024-10-11

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症例 肺炎合併による重症COPDの70歳代女性

COPDと喘息で近医にて加療中。COPDの増悪により点滴を受け,ステロイドも処方されましたが改善せず,昨晩も呼吸ができなくなりERを受診しました。痰が切れない,白い痰が出る,咳もきつい,熱は出ない,といった症状がありました。労作時呼吸困難もきつく,腰が痛くて歩けないとのことです。重喫煙歴がありますが,ここ数日は息切れのため,たばこは吸っていません。

ERでの胸部X線(図1)では,肺の過膨張と右中葉の肺炎を認めました。肺炎合併によるCOPDの急性増悪として,ステロイド点滴静注など入院加療を行いました。呼吸困難は軽減しましたが,ウィーズが残存しました。聴診と肺音の記録(図2)を行ったところ,ウィーズが頸部では聴取されましたが,前胸部ではほとんど聴こえませんでした。

血液検査では,CRP 1.8mg/dL,WBC 19.7×103/μL(好中球88%,好酸球0.1%),と急性の炎症反応を認めました。

喀痰グラム染色では,陽性の双球菌3+と陰性の短桿菌2+を認め,後日同定された肺炎球菌とインフルエンザ菌と合致しました。

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