【尿道癌1)2)】
原発性尿道癌は非常に稀な腫瘍で,人口100万人当たり1.1〜1.5人の発生数である。65歳以上の発症が多く,男女比は1:1.5〜3と女性に多い。最も多い組織型は男女とも尿路上皮癌 (45〜77%)であり,ついで男性では扁平上皮癌 (10〜35%),腺癌 (5〜12%)の順となる。女性では腺癌 (29〜40%),扁平上皮癌 (5〜29%)の順となる。
【尿道カルンクル】
尿道カルンクルは女性の外尿道口部にみられる良性ポリープで,閉経期以降の女性に認められることが多い。
前立腺部尿道の尿路上皮癌では,前立腺間質浸潤の有無や前立腺癌を否定するためにPSA値を確認することが重要である。
女性の尿道癌では経尿道的あるいは経腟的生検で確定診断を行う。
尿道癌の原発腫瘍のT分類は,Ta:乳頭状非浸潤癌,Tis:上皮内癌,T1:上皮下結合組織に浸潤,T2:前立腺 (特に前立腺部尿道の尿路上皮癌では前立腺間質),尿道海綿体,尿道周囲筋層のいずれかに浸潤,T3:陰茎海綿体,前立腺被膜外,腟前壁,膀胱頸部のいずれかに浸潤,T4:膀胱などの隣接臓器に浸潤,にわけられる。
前立腺部尿道の尿路上皮癌は,大きく非浸潤性癌 (Ta/T1/Tis N0 M0),浸潤性癌 (T2/T3/T4 N0 M0あるいはTany N1/N2 M0),転移性癌 (Tany Nany M1)の3つのタイプにわけて治療を進める。
前立腺部尿道を除いた原発性尿道癌は,大きく非浸潤性癌 (Ta/T1/Tis N0 M0),局所浸潤性癌 (T2 N0 M0),尿道周囲浸潤性癌 (T3/T4 N0 M0あるいはTany N1/N2 M0),転移性癌 (Tany Nany M1),の4つのタイプにわけて治療を進める。
尿道カルンクルは,まず抗炎症作用のある軟膏塗布にて保存的治療を行うが,出血,疼痛,尿勢異常,排尿困難などの症状が強い場合には手術加療を考慮する。
残り1,233文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する