痔瘻とは,肛門陰窩から細菌が侵入し,肛門周囲に炎症を起こし,膿瘍を形成し,膿瘍が自然に排膿,もしくは切開排膿し,瘻孔を形成したものである1)。特殊な場合として,クローン病や潰瘍性大腸炎に合併するものがある。
直腸肛門周囲に膿瘍を形成することで,疼痛,腫脹,発赤,発熱を呈する。肛門周囲の皮下まで膿瘍が形成されていれば,視診,触診で診断は可能である。深部の場合は,CT,MRIなどの画像診断が必要となる2)。
多くは,肛門周囲膿瘍で外来受診することが多い。切開排膿などのドレナージを要するものがほとんどであり,局所麻酔で可能か,腰椎麻酔が必要かを大まかに診断する。急性期には,発熱,疼痛などの症状,白血球増多,CRP上昇などを認めることが多いが,適切に膿瘍がドレナージされると,症状や炎症反応は速やかに改善し,抗菌薬や消炎鎮痛薬の投与は不要となる場合が多い。外科的治療が主であるが,痔瘻の位置によっても治療法は異なる。
わが国では表に示す隅越分類が広く使われており,それにより治療法を決定する3)。
クローン病の場合は複雑な痔瘻であることが多く,括約筋温存の手術を行う。
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