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痔核・裂肛[私の治療]

No.5100 (2022年01月22日発行) P.41

皆川知洋 (兵庫医科大学消化器外科学講座炎症性腸疾患外科)

池内浩基 (兵庫医科大学消化器外科学講座炎症性腸疾患外科教授)

登録日: 2022-01-20

最終更新日: 2022-01-18

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  • Ⅰ.痔核

    血管や弾性結合組織などにより構成される肛門クッションが,排便などの日常生活での刺激により肥大化して脱出や出血をきたすようになったものである。歯状線より直腸側が内痔核,肛門側が外痔核である1)

    ▶診断のポイント

    肛門からの出血,疼痛,脱出,腫脹などの症状を認めれば,肛門の視診,肛門鏡検査で痔核の正確な診断を行う1)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    十分な水分,食物繊維の摂取を勧める。硬便などの場合は緩下薬の投与を考慮する。急性期の血栓性外痔核に対しては,痔疾治療薬を用いるが,著明な疼痛を伴う場合は,局所麻酔下の血栓除去術を考慮する。嵌頓痔核に対しては,まずは可能なら保存加療を行うが,効果がなければ結紮切除術を考慮する。慢性期の治療として,内外痔核に対しては,保存加療,硬化療法,手術療法のうち,個々の治療に適した治療を選択する。痔核の脱出の程度で分類したGoligher分類(Ⅰ~Ⅳ)に従い,治療法を選択する場合が多い2)。保存的加療は,GoligherⅠ~Ⅱ度がよい適応である。GoligherⅢ度以上の症例では手術加療を考慮する。

    薬物療法には,内服薬と外用薬がある。外用薬は坐薬と軟膏があり,ステロイド配合の有無で大別される。内痔核に対しては坐薬が,外痔核に対しては軟膏が有用であるが,疼痛の強い場合は,軟膏のほうが使用しやすい。ステロイド配合薬は,腫脹,疼痛などの急性炎症のある時期に著効を示すが,ステロイド性皮膚炎などをきたすことがあり,長期連用は避ける。疼痛が強い場合は局所麻酔薬配合の外用薬を選択する。硬化療法であるALTA療法はⅡ~Ⅳ度の内痔核症例が適応で,外痔核には使用できない。また,再発率が結紮切除術より高い。

    ▶治療の実際

    保存加療を行い,下記の薬物や硬化療法,手術加療を併用する。

    【薬物療法】

    一手目 :ヘモナーゼ配合錠(ブロメライン・トコフェロール酢酸エステル)1回1錠1日3回(毎食後),ボラザG軟膏・坐剤(トリベノシド・リドカイン)1回1個1日1~2回(朝または朝・夕)併用

    二手目 :〈処方変更,または一手目に追加〉強力ポステリザン軟膏(大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン)1回1個1日1~2回(朝または朝・夕)

    三手目 :〈処方変更〉ネリプロクト軟膏・坐剤(ジフルコルトロン吉草酸エステル・リドカイン)1回1個1日1~2回(朝または朝・夕)

    四手目 :〈便秘の症例では,一~三手目に追加〉酸化マグネシウム330mg錠(酸化マグネシウム)1回1~2錠1日3回(毎食後)

    【硬化療法】

    一手目 :ALTA療法:ジオン注(硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸)

    専用の25G針を使用し,筒形肛門鏡を用いて,内痔核に四段階にわけて注射する。

    【手術療法】

    一手目 :結紮切除術

    痔核根部を縫合結紮する。ALTA療法と併用して行う場合もある。

    二手目 :ゴム輪結紮法

    痔核根部をゴム輪で緊縛し,壊死させる。

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