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特集:肺非結核性抗酸菌症─薬物治療の実際「先生,私の病気はどんな治療になりますか?」

No.5103 (2022年02月12日発行) P.18

菊地 利明 (新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科学分野教授)

登録日: 2022-02-11

最終更新日: 2022-02-09

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2015年2月より現職。書籍「非結核性抗酸菌症マネジメント(日本医事新報社)」の編集などにも携わり,現在,肺非結核性抗酸菌症の新規治療法の開発をめざして臨床研究に取り組んでいる。

1 肺非結核性抗酸菌症という病気です
・肺非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)症のほとんどが,M. aviumとM. intracellulareによる肺MAC症である。
・近年,肺NTM症の患者数増加が指摘されている。

2 診断はつきましたが,少し様子を見ましょう
・「矛盾しない胸部画像所見」と「2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性」の2つの基準を満たすことで,肺NTM症と診断する。
・肺MAC症には線維空洞型と結節・気管支拡張型の2つの病型がある。
・結節・気管支拡張型の肺MAC症では,診断後すぐに治療を開始せず,しばらく経過観察することも多い。

3 治療を始めたほうが良いようです
・「線維空洞型の肺MAC症」と診断した場合や,「結節・気管支拡張型の肺MAC症」の経過観察中に病状が悪化してきた場合には,治療を開始する。
・標準的薬物治療はリファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシンの3薬剤の多剤内服併用である。
・「線維空洞型の肺MAC症」などではストレプトマイシンあるいはカナマイシンの注射剤の併用を行う。
・薬物治療によって,7割弱の症例では治療効果が期待される。
・エタンブトールによる視神経障害など,副作用の出現には十分注意する必要がある。

4 効果があるようです。1年間続けましょう
・肺MAC症で治療効果の良好な症例は,治療開始2カ月で症状や胸部X線写真の所見が改善してきて,喀痰中の菌量も減少してくる。
・喀痰中の抗酸菌培養の陰性化を確認したら,さらに最低1年間,薬物治療を継続する。
・「さらなる治療期間の延長で,中止後に再燃・再発する可能性を減らせる」という報告があるものの,まだ十分なコンセンサスには至っていない。

5 思わしくありません。新薬を試してみましょう
・薬物治療を半年間続けても喀痰の抗酸菌培養が陰性化しない肺MAC症例には,2021年7月に発売開始されたアリケイス®の追加が考えられる。
・アリケイス®は,アミカシンをリポソーム粒子に封入した吸入用製剤である。
・リポソームを介して,アミカシンが肺胞マクロファージに効率的に取り込まれることが期待される。
・第3相臨床試験では,半年間の薬物治療が無効だった症例に本剤を追加することにより,29%の症例で抗酸菌培養が陰性化している。
・発声障害や咳嗽といった吸入療法特有の副作用が,高率に認められている。

6 先生,欧米と同じ治療はできないんですか?
・欧米のガイドラインでは,結節・気管支拡張型の肺MAC症に対して,アジスロマイシンを用いた週3回の間欠治療を勧めている。
・審査情報提供事例によって,わが国でもアジスロマイシンを用いた週3回の間欠治療は,保険診療上ほぼ実施可能である。

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