産科と精神科と市区町村の連携は「特定妊婦」をキーワードとして近年大いに注目されています。この言葉は、2009年に施行された改正児童福祉法で初めて定義されました。日本産婦人科医会がその支援に力を入れて下さっているので1)、すっかり現場に溶け込んでいることと存じます。
一方で、厚生労働省が子どもの虐待死を防ぐためにこの概念を適切に使うよう通知していることもあり、特定妊婦には潜在的虐待者というイメージが抱かれつつあります。「子ども虐待対応の手引き」2)では、産科医療機関が“早期”に養育支援を行う必要があると判断した場合、市区町村へ情報提供を行うことを求めていますし、一部では特定妊婦を児童虐待防止法の通告の対象とみなす意見3)もあります(これは法的根拠を欠く意見で、誤認通告に当たると私は思います)。
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