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慢性特発性蕁麻疹×茵蔯五苓散[漢方スッキリ方程式(63)]

No.5120 (2022年06月11日発行) P.14

橋本喜夫 (旭川厚生病院診療部長・皮膚科主任部長)

登録日: 2022-06-09

最終更新日: 2022-06-09

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蕁麻疹は膨疹あるいは紅斑を伴う一過性かつ限局性の浮腫が病的に出没する皮膚疾患であり,多くは痒みを伴う。蕁麻疹の大半は,自発的に皮疹が出没する「特発性蕁麻疹」と,誘因がある程度はっきりしていて皮疹の誘発が可能な「刺激誘発型の蕁麻疹」に大別できる。急性特発性蕁麻疹は現在では非鎮静性第二世代抗ヒスタミン剤で十分コントロール可能であり,漢方の有用性が経験できるのは,原因不明で6週間以上継続する慢性特発性蕁麻疹である。

第一選択は茵蔯五苓散に抗ヒ剤併用

症例として多いのが2,3の抗ヒスタミン剤を併用するも依然として皮疹が出続ける場合である。つまり皮疹がある程度抑えられてはいるが,消えない場合である。この場合の筆者の標準治療法のファーストチョイスは茵蔯五苓散。本剤の茵蔯蒿は黄疸を治すと言われる生薬で,熱を冷まし,湿を利する効果あり。五苓散は体内の水分の偏在を是正する代表的な方剤なので,これに茵蔯蒿が付加された。蕁麻疹に有効な機序は不明だが,真皮上層の浮腫を水分の偏在と捉えると,これを是正することが蕁麻疹に有効と推定される。また筆者の経験上,この方剤を投与すると,すでに投与中の抗ヒスタミン剤の効果が増強する印象がある。

感染症で悪化なら葛根湯が著効することも

茵蔯五苓散が無効の場合はに示したフローチャート(私案)に沿って方剤を選択していく。一通り使用しても効果が得られない時はオマリズマブ皮下注が奏効するが,コストが高いことは患者に説明すべき。

特徴のない蕁麻疹であるが皮疹が意外に頑固でコントロール不良の場合は十味敗毒湯も考慮。本剤は本治療法として長期に使用できるので使い勝手もよい。感染症や感冒で悪化する慢性蕁麻疹は肩こりや頭痛がなくても葛根湯が著効することがある。その他,消風散大柴胡湯茵蔯蒿湯は蕁麻疹に保険適応がある。

体力があり,胸脇苦満があれば大柴胡湯の著効例を経験しているが,プレドニンを少量使用中であればステロイド減量効果も合わせ持つので選択しやすい。寒冷蕁麻疹は寒冷刺激で膨疹が誘発される難治で稀な蕁麻疹だが,冬場にスキーのインストラクターの仕事をしている患者では麻黄附子細辛湯の著効例を経験した。これも覚えておくと便利だ(ただし蕁麻疹に保険適応がない)。

 

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