尿管瘤は,尿管末端が囊胞状に拡張した病態である。尿管芽の発生異常・尿管末端の形成異常により,尿管口が形態および開口部異常を呈することで,膀胱・尿道にかけて尿道末端に囊胞性病変を認める。尿管瘤により水腎水尿管を呈し,また尿管瘤の圧排所見に伴う尿排出障害により膀胱尿管逆流・尿路感染・尿失禁等をきたすこともある。女児に多く,5~22%は両側性である。また,重複腎盂尿管に伴う尿管瘤も認められる。
単一腎盂尿管に伴う尿管瘤か,重複腎盂尿管に伴う尿管瘤か,で大きく治療プランがわかれる。前者ではほとんどが膀胱内尿管瘤であり,尿管瘤の開口部を内視鏡下切開で拡張すれば,ほぼ治療が終了する。しかし後者の場合,約80%は異所性尿管瘤で,その尿管瘤はほとんどが上腎由来尿管であり,この尿管瘤は安易に尿管瘤切開を行うと膀胱尿管逆流を引き起こすばかりか,上腎機能がない場合は感染源になりうる。したがって,上腎機能・膀胱尿管逆流・尿管瘤の状態をみて治療方針を決定する必要がある。
内視鏡下尿管瘤切開術後の膀胱尿管逆流の出現は,異所性尿管瘤では70%程度と高率で,膀胱尿管逆流は出現しても尿管瘤のドレナージを優先すべきであるかの判断が重要である。
まず,膀胱内/異所性尿管瘤であるか,単一腎盂尿管瘤/重複腎盂尿管瘤であるかを画像検査で確認後,尿管瘤所属腎機能を評価し,腎機能が良好であればドレナージで改善する治療方針が考慮される。一方,腎機能がほとんどない状態であれば所属腎の摘出を図ることも考慮される。
治療方針を決定するまでは,尿路感染リスクが高いと判断した場合,予防的抗菌療法を開始し尿路感染対策を行う。切開術等を行った後に膀胱尿管逆流を起こした場合も,予防的抗菌療法を考慮する。尿管瘤の根治的切除術の上,膀胱尿管新吻合術を行う場合,幼少時期には出血等のリスクがあるため,出血に耐えられる時期になったタイミングで行うようにしている。
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