株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

高度腎障害に対してレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬は継続すべきか?

No.5125 (2022年07月16日発行) P.54

向山政志 (熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学講座教授)

久米真司 (滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科講師)

登録日: 2022-07-13

最終更新日: 2022-07-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 【高度腎障害症例においても生命予後改善にはRA系阻害薬の継続が望ましい】

    蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)に対する降圧療法として,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬〔アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)〕は第一選択薬ですが,腎機能低下が進むと腎障害が進展する可能性や高カリウム血症のリスクなどが問題となります。CKDステージG4~G5の高度腎障害に対して,あるいは透析導入後も含め,RA系阻害薬は継続すべきでしょうか。
    滋賀医科大学・久米真司先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    向山政志 熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学講座教授


    【回答】

    腎機能低下症例におけるRA系阻害薬(A CE阻害薬とARB)の中止が生命予後や腎予後に及ぼす影響を検証したランダム化比較試験(RCT)はなく,いくつかの観察研究をもとに回答します。

    腎機能低下症例におけるRA系阻害薬中止が生命予後に及ぼす影響を検証した海外の観察研究4編では,いずれもRA系阻害薬継続の生命予後に対する優位性が示されています1)~4)。うち3編では,RA系阻害薬継続による心血管イベントの抑制効果も確認されています1)~3)。一方,同じ4編における末期腎不全リスク評価では,2編で継続群に優位性が1)4),1編で中止群に優位性が3),残り1編では両者に差がないと報告されており2),一定の結論には至っていません。

    残り1,359文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top