【高度腎障害症例においても生命予後改善にはRA系阻害薬の継続が望ましい】
蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)に対する降圧療法として,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬〔アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)〕は第一選択薬ですが,腎機能低下が進むと腎障害が進展する可能性や高カリウム血症のリスクなどが問題となります。CKDステージG4~G5の高度腎障害に対して,あるいは透析導入後も含め,RA系阻害薬は継続すべきでしょうか。
滋賀医科大学・久米真司先生にご回答をお願いします。
【質問者】
向山政志 熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学講座教授
腎機能低下症例におけるRA系阻害薬(A CE阻害薬とARB)の中止が生命予後や腎予後に及ぼす影響を検証したランダム化比較試験(RCT)はなく,いくつかの観察研究をもとに回答します。
腎機能低下症例におけるRA系阻害薬中止が生命予後に及ぼす影響を検証した海外の観察研究4編では,いずれもRA系阻害薬継続の生命予後に対する優位性が示されています1)~4)。うち3編では,RA系阻害薬継続による心血管イベントの抑制効果も確認されています1)~3)。一方,同じ4編における末期腎不全リスク評価では,2編で継続群に優位性が1)4),1編で中止群に優位性が3),残り1編では両者に差がないと報告されており2),一定の結論には至っていません。
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