強い視力低下や眼痛を伴っている症例は専門医への早期紹介を検討する。特に急性緑内障発作,感染性角膜炎,淋菌性結膜炎,眼窩蜂巣炎などが疑われる場合には,速やかに紹介を行う。また,流行性角結膜炎などのウイルス性結膜炎の可能性を常に念頭に置き,感染拡大の予防に努める。
病歴聴取では,①外傷性か,②両眼性か片眼性か,③急性発症かどうか,④随伴症状の有無,⑤眼疾患と全身疾患の既往歴,⑥コンタクトレンズ装用の有無,⑦眼分泌物の性状と量,⑧性交渉歴,⑨流行の有無,を確認する。
診察では,①対光反応,②眼球運動,③対座法での視野検査,④脳神経症状,を確認する。
眼圧測定が可能であれば行い,著しい高眼圧の場合は急性緑内障発作,著しい低眼圧の場合は穿孔性眼外傷を疑う。眼圧計がない場合には閉瞼させて,やさしく眼球を触診し,左右差や検者自身の眼球圧と比較する。
結膜下出血を起こしているのか,結膜充血であるのか,毛様充血であるのかを鑑別する。結膜下出血は球結膜や眼瞼結膜表層の鮮紅色の血管拡張であり,毛様充血は角膜輪部を中心とした紫紅色の充血として認められる。結膜下出血は広範な斑状の結膜下の出血であり,肉眼でも容易に鑑別可能である。流行性角結膜炎では,眼脂と結膜濾胞,耳前リンパ節の腫脹を伴うことが多い。
「視力障害」の稿を参照。
急性緑内障発作をまず除外し,感染性角膜炎,淋菌性結膜炎,眼窩蜂巣炎,ぶどう膜炎,強膜炎,小児では川崎病などの準緊急疾患が疑われる場合には,早期の専門医紹介を検討する。
眼窩蜂巣炎やムコール症を疑う場合には,血液検査,頭部・眼窩・副鼻腔の造影CTを行う。
流行性角結膜炎は,免疫クロマト法によるアデノウイルス抗原検出キットが利用可能であれば,外来にて15分程度で判定可能である。ただし,感度が80%程度とやや低いために偽陰性に注意が必要である。眼脂の塗抹検鏡も迅速に施行でき,鑑別診断の助けになる。
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