出生時体重が軽いと、成人後の2型糖尿病(DM)発症リスクが高くなることが知られている[Knop MR, et al. 2018.]。では発症時期や2型DM表現型には、出生時体重別で差が生じるだろうか? この点につきAleksander L.Hansen氏(ステノ糖尿病センター、デンマーク)が、デンマーク大規模2型DMコホートである"DD2コホート"データを用いた検討結果を、19日からストックホルム(スウェーデン)で開催された欧州糖尿病学会(EASD)で報告した。
解析対象となったのは、デンマークで2010~2018年までに2型DMと診断されてから2カ月以内の8190例中、出生時データが揃っていた6866例である。単生児以外や抗GAD抗体陽性例などは除外されている。
これら6866例を、出生児体重で3群にわけ、2型DM発症との相関を検討した。 体重わけは、体重下限25%、上限25%、それらを除いた50%とし、結果、「<3000g」(低体重:1675例)、「3000-3700g」(通常体重:3525例)、「>3700g」(高体重:1666例)の3群となった。
まず、体重別に発症年齢ごとの有病オッズ比(PR)を比較した。
その結果、出生時「低体重」群では「通常体重」群に比べ、「45歳未満」(PR:1.28、95%信頼区間[CI]:1.10-1.48)、「45-<55歳」(同:1.32、1.20-1.46)の2型DMのPRが有意に高くなっていた。しかしその後「55-<65歳」では有意差がなくなり、65歳以上では「通常体重」群のほうがPRは有意に高くなっていた(年齢、性別、2型DM家族歴を補正後)。
なお、出生時「低体重」群では、2型DM発症時のBMI「<25kg/m2」「25-<30kg/m2」のPRが有意に高かった。痩身にもかかわらず、早期に2型DMを発症した形である。
一方、出生時「高体重」群では、「通常体重」群に比べ、若年ほど2型DM発症リスクは低く、加齢とともにリスクは上昇する傾向が見られた。「通常体重」群に比べ、PRが有意高値となるのは65歳を超えてからだった。
では、このような、出生時「低体重」と「高体重」群間の2型DM発症の背景に何があるのか。
Hansen氏らはまず、2型DM発症関連遺伝子の影響を多遺伝子リスクスコアを用いて検討した。しかし出生時体重間で差はなかった。 また、「Cペプチド濃度」「HOMA2」「HOMA2-β」も、出生時「低体重」群、「高体重」群いずれも、出生時「通常体重」群と差は認めなかった。
本研究はSteno National Collaborative Grant 2020から資金提供を受けて実施された。