結石が膀胱に存在する膀胱結石と,尿道に存在する尿道結石を併せて下部尿路結石と呼ぶ。下部尿路結石は,膀胱内で形成されるものと,腎結石が下降し,膀胱内に停留,増大するものがある。自然排石されない膀胱結石・尿道結石は,下部尿路通過障害または膀胱の機能障害を合併している可能性が高い。
結石成分では,カルシウム結石,感染結石,尿酸結石の割合は,それぞれ男性で62.0%,14.3%,12.9%,女性で27.1%,61.4%,4.3%である。男女とも感染結石,男性では尿酸結石の割合が上部尿路結石と比較して高い。
膀胱結石では無症状のことも多いが,頻尿,排尿痛,残尿感などの膀胱刺激症状,血尿がみられる。結石が膀胱頸部を閉塞すると,排尿困難や尿閉をきたす。尿道結石では排尿困難,尿線の中絶,尿の滴下状失禁がみられ,尿閉となることもある。外尿道口からの出血がみられたり,振子部尿道に結石が触れることもある。
超音波検査,X線検査,CT,尿道膀胱鏡で診断する。尿道結石は男性に多く,女性では稀である。
結石を摘除した際には成分分析を行う。尿路感染を伴う場合は尿培養を行う。
膀胱結石では,経尿道的に内視鏡で,結石を破砕して摘除する手術(膀胱砕石術)を行う。結石が大きい場合には,開腹術(切石術)を行うことがある。前部尿道結石では,鉗子で摘除,後部尿道結石では,膀胱内に結石を押し戻して,膀胱砕石術を行う。
下部尿路通過障害,尿路感染などの原因となる基礎疾患を把握して,再発防止のため,原疾患についての治療を行う。
残り890文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する