上部尿路結石(腎結石,尿管結石)は尿路結石全体の約95%を占める。年間罹患率は1965年から2005年まで約3倍に漸増しその後は平衡状態で,男性では7人に1人,女性では15人に1人が罹患する。50~60歳に好発する。カルシウム結石が結石成分の大多数を占める1)。生活習慣病との関連が指摘されており糖尿病,高血圧,脂質異常症などを合併することが多い。尿路閉塞による腎機能障害,尿路敗血症を誘発するなど,生命予後に関わることも少なくない。
主症状は疼痛と血尿である。突然生じる片側性の側腹部痛あるいは腰背部痛が特徴で悪心・嘔吐,冷汗を伴うことや鼠径部への放散痛や陰囊部痛を訴えることもある。結石が下部尿管(膀胱付近)に存在する場合は尿意切迫感,頻尿,残尿感などの膀胱刺激症状がしばしば発生する。
血尿については,顕微鏡的血尿はほとんどの症例にみられるが,肉眼的血尿を生じることは少ない。結石が尿管を完全に閉塞している状態や,長期間同じ位置に存在している状態などでは血尿を認めない。
検尿で血尿,画像検査で結石像を呈する。画像検査は,腎尿管膀胱部単純X線撮影(KUB),腹部超音波断層法,単純CTを用い,排泄性尿路造影は行わない。単純CTが診療ガイドラインにおいて,エビデンスレベル,推奨度ともに最も高く,急性腹症との鑑別にも有用である。
除痛,結石除去,再発予防の基本に沿い,まず疼痛管理を最優先する。
結石除去法は,単純CTで結石のサイズ・位置,水腎症の有無に加えCT値などによる結石成分や硬度,結石周囲の尿管壁の状態および尿路の形態などから,砕石効果や砕石片排出の推測と尿路感染合併の有無を考慮して選択する。尿路感染合併例では手術前に尿培養検査を行い,菌株と抗菌薬の感受性を確認する。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が尿管結石の疼痛緩和に対する第一選択であるが,アスピリン喘息患者,妊婦には禁忌で,腎機能低下患者にも注意が必要である。
診療ガイドラインではα1遮断薬とカルシウム拮抗薬が,10mm以下の尿管結石の排石促進の第一選択とされているが,保険適用はない2)。
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