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糖尿病合併症(神経障害)[私の治療]

No.5144 (2022年11月26日発行) P.43

麻生好正 (獨協医科大学病院病院長)

登録日: 2022-11-25

最終更新日: 2022-11-21

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  • 糖尿病性神経障害は,糖尿病に特有な細小血管症(網膜症,腎症を含めた三大合併症)のひとつであり,三大合併症の中で最も頻度が高い。病型として,遠位性左右対称性神経障害(感覚運動神経障害),有痛性神経障害,自律神経障害,局所性神経障害などがある。自律神経障害では,起立性低血圧,胃不全麻痺,下痢,神経因性膀胱,勃起障害(erectile dysfunction:ED),発汗異常,無自覚性低血糖などを呈する。

    ▶診断のポイント

    簡易診断基準として,①糖尿病性神経障害に基づくと思われる自覚症状(両下肢のしびれ,痛み,異常感覚),②両側アキレス腱反射の低下あるいは消失,③両側内踝の振動覚低下,があり,これら3項目のうち2項目以上を有する場合,神経障害ありと診断する。

    自覚症状では,両足趾から症状が出現し,「足底に薄皮が1枚張っている」といった異常感覚,足趾・足底のしびれ・痛みなどの感覚異常を訴える。運動神経障害として,こむら返り,筋力低下がみられる。

    Ⅰ.感覚運動神経障害

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の基本は良好な血糖コントロールであり,原則,HbA1c 7.0%未満の達成をめざす。血圧,脂質の心血管危険因子の適切なコントロール,禁煙などの包括的管理が重要となる。

    ▶治療の実際

    異常感覚,しびれなどの感覚障害が治療対象になる。薬物療法として,アルドース還元酵素阻害薬であるキネダック(エパルレスタット)には,しびれ,知覚異常,こむら返りの改善作用が示されているが,疼痛抑制効果は期待できない。

    一手目 :キネダック50mg錠(エパルレスタット)1回1錠1日3回(毎食前)

    二手目 :〈特に高用量のメトホルミンを服用中の場合,一手目に追加〉メチコバール500μg錠(メコバラミン)1回1錠1日3回(毎食後)

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