出生時より毛細血管の奇形により赤色から暗赤色の境界鮮明な紅色斑を呈しており,表面は平坦である。局所的なものから広範囲のものまで種々の大きさでみられる。発生率は0.3%とされ性差はない。自然消退は望めず,思春期以降から深部血管の異常も合併するため,病巣が肥厚して凹凸不整になり,その上に結節状隆起を生じることがある。近年では国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)分類に則って,毛細血管奇形(capillary malformation:CM)と呼ばれている。
①出生時よりみられる,②境界は比較的明瞭である,③表面は平坦で隆起しない,④硝子圧で消退する,⑤顔面や四肢,体幹上部に好発する,⑥病理組織では真皮浅層に成熟した毛細血管の拡張,赤血球の充満像を認める,⑦免疫組織染色でGLUT 1は陰性である,ことなどがポイントとなる。
赤あざの鑑別を行ってから治療方針を立てる。CMと同様の毛細血管形成異常には,サモンパッチ,ウンナ母斑がある。また,乳児血管腫(IH)でも,出生まもなくは扁平にみえることもある。IHは低出生体重児で女児に多く,時間とともに隆起してくることから鑑別できる。
CMの治療には,パルス幅可変式ロングパルス色素レーザー(PDL)照射療法が最適であり,大半の症例で有意に色調を薄くできる。特に顔面,頸部のCMでは,その他の部位に比べ有効性が高い。一方,顔面の三叉神経第2枝領域の病変や四肢の広範囲の病変,手足の末端では治療効果が低くなる。
レーザーが無効の場合には,形成外科的な手術(切除,植皮など)を選択する。特に経年性の変化で肥厚したり,隆起した結節性病変では手術のほうが満足度が高いと言われる。これらのいずれも奏効しない場合や実施困難な場合には,メディカルメイク(カバーマークなど)による保存療法も試みられる。
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