保険診療に対する指導・監査を巡り、改善に向けた動きが少しずつ進んでいる。指導や監査、処分の改善を求める医師、弁護士らによる「健康保険法改正研究会」はこのほど、指導と監査の分離や集団的個別指導の廃止などを柱とする健保法改正の試案を公表した。その概要を紹介する。
医科の指導・監査の実施状況は表1の通り。最近の動きとしては2012年度に取消の医療機関が42施設と、前年度の20施設に比べ倍増した。
指導・監査については日本弁護士連合会が「個別指導の選定理由の開示」など7項目の見直しを求める意見書を2014年に厚生労働省へ提出。今回の研究会の試案は日弁連の意見書を基にしつつ、さらに踏み込んだ内容を条文の形式に落とし込んでいる。
改正法試案の内容は主に①手続き上の権利の保障、②指導と監査の峻別、③その他の手続適正化、④行政の裁量権の制限─の4つに分かれる。
そのうち①の手続き上の権利の保障は、弁護士選任権や録音・録画の権利、選定理由の通知を受ける権利など、対象となる保険医の権利に関するもの。
具体的には、健保法第78条「保険医療機関又は保険薬局の報告等」などに検査を受ける保険医療機関は「選任した弁護士を質問又は検査に立ち会わせることができる」との文言を追加し、現状では担当者の裁量で認められる指導・監査の録音・録画を弁護士が行えることを監査規則と指導告示に明記。
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