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急性呼吸器疾患に対するエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の現状と今後の期待について

No.5149 (2022年12月31日発行) P.52

西山 理 (近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科学 特命准教授)

吾妻安良太 (日本医科大学武蔵小杉病院呼吸器内科教授)

登録日: 2022-12-28

最終更新日: 2022-12-27

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  • 急性呼吸器疾患に対するエンドトキシン吸着療法(polymyxin B-immobilized fiber column direct hemoperfusion:PMX-DHP)の現状と今後の期待について教えて下さい。
    日本医科大学武蔵小杉病院・吾妻安良太先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    西山 理 近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科学 特命准教授


    【回答】

     【PMX-DHPによる血液浄化法はエンドトキシン吸着・除去以外にも病態改善に寄与し得る】

    PMX-DHPは,グラム陰性桿菌血症に伴うエンドトキシンを吸着することで効果を発揮しますが,2000年当初にエンドトキシン陰性でも呼吸不全の病態改善が認められた特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の急性増悪(AE-IPF)症例を経験したことから,その知られざる効果が期待されるようになりました1)。厚生労働省の難病研究による多施設後向き解析の結果から,致死性が軽快したことが示唆されています2)。また,AE-IPFは,慢性進行性のIPFにおいて,予後のさらなる悪化要因として,現在では世界中で治療標的のひとつと理解されています。

    希少疾患の希少病態として,その発症機序は明らかではありませんが,PMXカラムの吸着物質の研究から,活性化好中球が吸着され3),その変化はP/F比の改善とも連動する可能性が示唆されています4)。さらに,肺障害細胞成分の吸着にとどまらず,炎症の元となる複数のサイトカインを除去している可能性も報告されています5)。PMX-DHPの治療効果と分子病態機序の考察から,AE-IPFの病態改善とPMX-DHPの効果との密接な関連が示唆されています。

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