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爪白癬のdermatophytoma(白癬菌塊)の特徴と治療戦略について

No.5149 (2022年12月31日発行) P.53

馬渕智生 (東海大学医学部皮膚科教授)

佐藤友隆 (帝京大学ちば総合医療センター皮膚科教授)

登録日: 2022-12-29

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  • 爪白癬のdermatophytoma(白癬菌塊)の特徴と治療戦略について,帝京大学ちば総合医療センター・佐藤友隆先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    馬渕智生 東海大学医学部皮膚科教授


    【回答】

     【爪甲下の菌集塊で濃白色や黄色の縦走線条や斑を呈する。爪甲の開窓を行う】

    dermatophytomaは,1998年にRobertsとEvansらが提唱した爪甲下の過角化な真菌集塊の存在で,爪甲が濃白色や黄色の楔型や縦走線条または斑を呈する爪白癬の病型です。菌糸と胞子のような真菌要素の稠密な集塊で構成されます。菌糸が多い領域では爪甲の腹側に付着し爪床への接着は弱く,遠位側縁爪甲下爪真菌症(distal and lateral subungual onychomycosis:DLSO)や全異栄養性爪真菌症(toral dystrophic onychomycosis:TDO)と混在することが多いために両者と診断され,この病型の爪白癬は稀と考えられています1)

    dermatophytomaの名前は“derma”皮膚+“phyte”植物=“dermatophyte”白癬菌と“-oma”集塊や腫瘍から「白癬菌塊」と和訳されます。肺などの空隙で観察されるアスペルギルス菌糸の球状の稠密な集塊である病理用語のaspergillomaに類似します。

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