【質問者】
宮澤慶行 群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学
【検査のタイミング,提案法,検査後のカウンセリング体制が重要】
mCRPCは,癌死リスクの高い状態にあるので,有効な薬物療法をタイミングよく提供することが肝要です。2021年にPARP阻害薬オラパリブがBRCA1/2遺伝子変異陽性のmCRPCに対して保険適用になり,泌尿器科医もがんゲノム診療と無縁ではなくなりました。
日本泌尿器科学会の指針1)では,がんゲノム検査を行うタイミングとしては,1剤目の新規ホルモン治療が終了,もしくは終了しかかっている場合としています。BRCA1/2遺伝子変異陽性mCRPCは予後不良であり2),検査が手遅れとならないための注意が必要です。
一方,最大のピットフォールとなりうるのは遺伝カウンセリングです。その重要性から,検査実施には,遺伝カウンセリングに速やかにつなげられる体制が必須です1)。BRCA変異陽性が判明した場合は,その患者さんのみならず,血縁のある方々の遺伝的影響へのフォローも責任を持って行わなくてはなりません。具体的には,血縁者もBRCA変異の検査を自費で受けるか,BRCA変異陽性だった場合の乳癌などのスクリーニングをどうするか,等々の「もしも」を重ねた説明が必要になります。未成年の血縁者にはさらなる配慮が必要です。泌尿器科医のマネジメントを越える問題ですので,遺伝カウンセラーなどに介入をお願いできるように事前に体制を整えておかなくてはなりません。
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