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産業保健における疫学研究の意義と現場での活用について

No.5155 (2023年02月11日発行) P.58

岡田邦夫 (NPO法人健康経営研究会理事長)

林 朝茂 (大阪公立大学大学院医学研究科産業医学教授)

登録日: 2023-02-13

最終更新日: 2023-02-07

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  • 産業保健における疫学研究の意義と現場での活用についてご教示下さい。
    大阪公立大学・林 朝茂先生にご解説をお願いします。

    【質問者】岡田邦夫 NPO法人健康経営研究会理事長


    【回答】

     【産業保健における疫学研究は全世界の人々の健康保持対策推進には必要不可欠である】

    疫学研究で最もポピュラーな研究は,コホート研究から疾患の発症リスクを探求することです。

    産業保健の現場は,定期健康診断の事後措置や長時間労働者の面接指導など,医師として未病の状態の人々と最も接することができます。このため,各疾患,特に生活習慣病に対する発症リスクを正確に把握して,的確な指導ができることはきわめて重要です。これらの知識の基本は,すべて信頼できる疫学研究(基本は前向きコホート研究)からのエビデンスでなければなりません。

    疫学研究の結果を現場で活用する上での重要な要素として,研究参加者がどのような人々であったかが挙げられます。すなわち,疫学研究の結果をどのような人々に適応可能かを“generalizability”と言い,たとえば,白人やアフリカ系米国人の疫学研究のエビデンスを日本人に適応することは正しくありません。このため,日本人の生活習慣病予防に活用するエビデンスは,日本人を研究参加者とした疫学研究でなければなりません。

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