眼炎症発作を繰り返し生じることで視機能が低下していくぶどう膜炎であり,眼発作抑制治療が必要である。
ベーチェット病は多臓器疾患であり,その診断は各臓器での特徴的な所見とともに診断基準に照らし合わせて総合的に判断される。各臓器病変は必ずしも同時期に生じるわけではないため,診断がつくまでに時間を要することがある。診断の決め手となる検査所見があるわけではないが,HLA-B51,HLA-A26が陽性であることは診断の一助となる。
治療は,発作期の①眼炎症発作消炎治療と,非発作期にも継続して行う②眼炎症発作抑制治療にわけられる。
発作期には,眼組織(特に網脈絡膜)の不可逆的障害を最小限に抑えるために十分な消炎治療を行う必要がある。即効性の高い水溶性ステロイド(ベタメタゾン,デキサメタゾンなど)の眼周囲注射を炎症の程度に合わせて1日1~2回,1〜5日間行う。眼周囲注射は,前眼部炎症に対しては結膜下注射,後眼部炎症に対しては後部テノン囊下注射を行う。眼周囲注射が困難な場合には,プレドニゾロンの内服または点滴静注を行うこともある。
眼炎症発作抑制治療は,眼炎症発作が頻発する場合に導入され,導入されれば発作の有無にかかわらず継続的に行われる。第一選択薬はコルヒチンであり,効果が不十分な場合にはシクロスポリンもしくはTNFα阻害薬の追加,または切り替えを検討する。TNFα阻害薬としてインフリキシマブ,アダリムマブが用いられ,いずれも高い有効性が報告されているが,導入前のスクリーニング検査,モニタリング検査は必須である。
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