両手足と前〜側胸部に電極を装着して得られる標準12誘導心電図が,心疾患に関する多くの情報を与えてくれるのは紛れもない事実です。ただ,このシステムだと一部に“死角”が出てしまうことも知られています。
検査法の限界かと思いきや,先人はそれを補う新しい“視点”を見つけ出しました。ズバリ「補助誘導」と言います。英語では“supplemental leads”─あまり聞き慣れない用語だなぁと思った方もいるかもしれません。標準的な12個の誘導に加えて“オプション”として記録する誘導波形と考えて下さい。
ボク自身は,事あるごとについ“追加誘導”と言ってしまいます*1。でも,ドラッグストア等で売られているサプリメントは健康“補助”食品と言いますし,国内の一部の文献1)でもそう記載されていることから,以後は「補助誘導」と呼ぶことにします。
補助誘導として,有益なものがいくつか知られていますが,今回は「右側胸部誘導」(right precordial leads)について取り上げようと思います。
*1 実際“additional chest leads”と記載する文献もあります2)。