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爪白癬[私の治療]

No.5172 (2023年06月10日発行) P.46

原田和俊 (東京医科大学皮膚科学分野主任教授)

登録日: 2023-06-09

最終更新日: 2023-06-06

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  • 爪白癬は白癬菌が爪甲に侵入し,増殖した状態である。爪甲は混濁・肥厚し,変形をきたす。人口の10%が罹患している可能性がある,患者数が多い疾患である。高齢者は罹患率が高く,今後も患者数の増加が予想される。

    ▶診断のポイント

    爪白癬の確定診断にはKOH(苛性カリ)を用いた直接鏡検を行い,白癬菌を検出する。2022年より,爪白癬の診断に保険適用を持つ白癬検出キットが使用可能となったが,本キットは鏡検検査の結果の確認など,真菌検査の補完として用いるべき検査である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    爪白癬の病型と進行度を基準に治療法を選択する。

    爪甲の表面から直接白癬菌が侵入するSWO型(表在型),爪甲が線状,楔状に白濁する線状・楔状白濁型爪白癬には,まず外用薬を選択する。また,白癬菌が爪甲の下方から侵入するDLSO型(遠位側縁爪甲下型)で爪甲の混濁面積が50%以下の症例にも,外用薬を選択してもよい。一方,混濁面積が50%を超えるDLSO型,爪甲の基部から白癬菌が侵入するPSO型,爪甲全層で白癬菌が増殖し,爪甲の変形が著しいTDO型には内服薬を選択する。

    爪白癬に対する内服薬としては,テルビナフィン,ホスラブコナゾール,イトラコナゾールの3剤が選択できる。

    【治療上の一般的注意&禁忌】

    内服抗真菌薬は肝機能障害が生じることがある。慢性肝炎などの肝疾患を合併している患者に対する投与は注意すべきである。内服抗真菌薬の投与中には定期的に血液検査を行う。

    内服抗真菌薬には併用禁忌,併用注意薬がある。イトラコナゾールは併用禁忌薬が2021年11月現在,28種類あり,実臨床の場では選択しづらい。

    高齢者は既に多数の薬剤を内服していることが多いので,投与前に患者の薬歴を必ず確認する。

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