日本老年医学会は12日、高齢者が要介護状態になる前段階を「フレイル」と名付け、食事や運動による一次予防・二次予防の重要性を呼びかける提言を公表した。
提言によると、後期高齢者の多くは“Frailty”という中間的な段階を経て、徐々に要介護状態に陥る。Frailtyとは、生理的予備能が低下してストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態を指し、身体的問題のみならず、認知機能障害などの精神・心理的問題、独居などの社会的問題を含む概念だ。
Frailtyの日本語訳は従来、「虚弱」が使われており、不可逆的に老い衰えた状態という印象を伴っていた。しかし、Frailtyには本来、「介入により健常な状態に戻る」という可逆性が含まれており、Frailtyに陥った高齢者を早期に発見し適切に介入することにより、生活機能の維持・向上が期待されている。
そのため学会ではFrailtyの社会的認知度を上げるために、日本語訳を「フレイル」とし、フレイルの意義を高齢者の医療介護に携わる専門職のみならず、広く国民に周知して要介護高齢者の減少を目指すとしている。