SGLT2阻害薬には減量作用があることが知られているが、体組成に及ぼす影響は、特に東アジア人では明らかではなかった。そのためサルコペニアを惹起する可能性が懸念されている。
そこで韓国・順天郷大学校のHyeong Kyu Park氏らは、ランダム化比較試験(RCT)"BEYOND"でこの点を検討した。少なくともSU剤よりは良い影響を与えるというのが同氏らの結論である。
6月20日、Diabetes Obes Metab誌掲載の論文から紹介したい。
本RCTの対象は、メトホルミン単剤服用下で「HbA1c≧7.0」だった、19~75歳の韓国在住2型糖尿病(DM)患者112例である。
平均年齢は55.1歳、女性が44.6%を占めた。
体重平均値は71.8kg、BMI平均は26.8kg/m2、体脂肪率は平均で33.6%(DXA評価)だった。
これら112例はSGLT2阻害薬(ダパグリフロジン10mg/日)追加群とSU剤(グリメピリド1-2mg/日)追加群にランダム化され、非盲検下で52週間観察された。
その結果、体重はSGLT2阻害薬群でSU剤群に比べ3.7kg、有意に低下した。
また1次評価項目である「体脂肪」量は、SGLT2阻害薬群では1.49kgの有意減少、SU剤群では1.10kgの有意増加となり、SGLT2阻害薬群で2.59kg、有意に低値となった(95%信頼区間:1.82-3.35)。
本試験で観察された「全体重減少に占める体脂肪減少」の割合は、白人を対象とした研究と同等だとPark氏は述べている(参照文献提示はなし)。
一方SGLT2阻害薬群では「除脂肪体重」も低下した。低下幅は1.10kg。その結果、0.18kg増加したSU剤群に比べ除脂肪体重は有意に低値となった。
ただしSGLT2阻害薬群の「全体重に占める除脂肪体重の割合」は、試験前後で変化していないという。しかしこれはSU剤群でも同様だった(両群とも0.63のまま不変)。
これらの結果についてPark氏は、韓国ではSGLT2阻害薬が2型DM例の筋肉量を減らすことなく体重を減少させたとの140例観察研究もあるため、韓国人にSGLT2阻害薬がもたらす減量は主として体脂肪減少によるものだと考察している。
本研究はAstraZeneca Koreaから資金提供を受けて実施された。