Sweet症候群は,発熱,上気道感染症,全身倦怠感などの全身症状を伴い,真皮を中心に多数の好中球が浸潤し,時に環状を呈する有痛性の浮腫性紅斑を皮疹の主体とする好中球性皮膚症のひとつである。骨髄異形成症候群などの基礎疾患を伴うことが多い。
有痛性浮腫性紅斑,膿疱を伴う紅斑,結節性紅斑様の結節などの皮疹を伴い,発熱,関節痛,全身倦怠感が比較的急速な経過で生じる。
浸潤のある有痛性浮腫性紅斑が特徴的で,時に膿疱形成を認める。病変が皮膚の深い部分に生じた場合には,結節性紅斑様の臨床像をとることもある。
類似の臨床像を呈する疾患としては,持久性隆起性紅斑,膿疱性乾癬,壊疽性膿皮症の初期,多型滲出性紅斑,結節性紅斑,リンパ腫などがある。ベーチェット病は,病態の上でも類似点が多く重複例も報告されているが,ベーチェット病では口腔内アフタ,陰部潰瘍が特徴的である。
診断確定のために皮膚生検は必須であり,好中球の真皮上層へのびまん性浸潤を確認する。血液検査所見としては,白血球増多,好中球の左方移動,CRP上昇,血液沈降速度の亢進などがある。
好中球性皮膚症のひとつであり,好中球の異常な活性化が病態の中心であるため,好中球の活性化を抑制するような薬剤が有効である。また,基礎疾患の検索を積極的に行い,基礎疾患が発見された場合には,その治療を行うことで皮膚症状も軽快する場合が多い。
副腎皮質ステロイドは強い抗炎症作用を持ち,多くの炎症性皮膚疾患の治療として用いられている。壊疽性膿皮症,膿疱性乾癬などの好中球性皮膚症に対しても有効性を示し,Sweet症候群に対しても有効性を示す。発熱,関節炎,全身倦怠感などの急性期の全身症状に対して速やかな効果を示し,皮疹に対しても有効である。
ヨウ化カリウムは,結節性紅斑,壊疽性膿皮症,スポロトリコーシスなど多くの皮膚疾患の治療薬として,保険適用外で利用されている。Sweet症候群に対する有効性も報告されており,おそらくヨウ化カリウムの好中球活性化抑制作用によるものと推測されるが,詳細は不明である。甲状腺機能に注意が必要である。
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