嬉しい!…先日の本誌“読者の声”(Reader's Voice)欄を拝見しました(No.5168)。そこには「Brugada型心電図とrsr'との鑑別を教えて欲しい」と記されていました。
お褒めの言葉に気を良くしたからではないですが(笑),なかなか“深イイ疑問”でもあるため,“アンサー”的に「rSr'パターン」の考え方として誌面で解説することにしました。なお,内容が“てんこ盛り”となり,前編・後編の2回にわけるに至りました。
皆さんは,「rSr'パターン」という言葉を理解していますか?これは最初に小陽性波(r波),陰性波(S波)と続いて,最後にもう一度陽性波(r'波)が認められる3相性のQRS波形のことで,右前胸部誘導,特にV1,V2で認められたときを想定しています。
このパターンは,心疾患のない集団でも7%に認められるとされ1),どうりで健診なんかでも,よく見かけるわけです。いわゆる好発波形なんですね。
非常に興味深いのは,ひとえに「rSr'パターン」と言っても,その裏側には,正常亜型と見なせるものから,究極だと生死にも直結する重大な病態までが混在している点です。ご質問にも関係するブルガダ症候群(BrS)もそのひとつです(詳細は次回参照)。
なお,QRS幅が広い場合,おおむね「完全右脚ブロック」“一択”となってしまうため,ここでは,120ms未満を想定して,「rSr'パターン」波形の読み方を“深掘り”してお伝えしたいと思います。