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胃ポリープ・胃腺腫[私の治療]

No.5187 (2023年09月23日発行) P.47

増永哲平 (慶應義塾大学病院腫瘍センター)

矢作直久 (慶應義塾大学病院腫瘍センター教授)

登録日: 2023-09-23

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  • 胃ポリープとは,胃内腔に突出した限局性の隆起性病変の総称で,一般的には良性の上皮性非腫瘍性病変を指し,代表的な疾患としては胃底腺ポリープと過形成性ポリープがある。胃腺腫は,良性上皮性腫瘍を指す。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    いずれの病変も症状を呈することは稀であり,検診などの上部消化管内視鏡検査で偶然に指摘されることが多い。

    【内視鏡所見】

    胃底腺ポリープ:Helicobacter pylori(H. pylori)感染陰性の萎縮のない胃底腺領域に散発し,通常は同色調であり,半球状で5mm以下の小さいものが多い。表面には周囲粘膜と同様な規則正しい腺開口部が観察される。

    過形成性ポリープ:H. pylori感染などによる萎縮性胃炎を背景に発生し,通常は白苔を伴う発赤調で,半球状のものや有茎性のもの,数mm〜2cmを超えるものなど多彩な形態を呈する。表面には浮腫を反映して開大した窩間部が観察される。

    胃腺腫:H. pylori感染などによる萎縮性胃炎を背景に発生し,白色調の扁平隆起であることが多く,表面にはスリット状の腺開口部が規則正しく配列する。

    いずれの病変も典型例は内視鏡所見からのみで診断が可能で,通常,生検は不要である。非典型例やがんが否定できない場合は,適宜生検を行い組織学的な評価を追加する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【胃底腺ポリープ】

    症状を呈することはなく,がん化のリスクもないため治療介入の必要はない。

    【過形成性ポリープ】

    通常は治療対象とはならないが,しばしば貧血や幽門輪への嵌頓による腹痛の原因となることがあり,有症状の際は治療対象となる。ほとんどの病変はがん化のリスクはないが,2cmを超えるような大型のものや,経時的にサイズが増大するものは稀にがん化していることがあるため,治療を検討する。

    【胃腺腫】

    サイズの小さいものは経過観察が可能であるが,基本的には治療を検討する。特に2cmを超えるもの,発赤の強いもの,形態が不整なものなどは早期胃癌である可能性があるため,治療が推奨される。

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