日本医師会と日本医学会は7月23日、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が4月に公表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」に対する追加見解を発表した。「基準範囲」を治療目標に使用することは適さないことを改めて強調している。
日医と医学会は「基準範囲」に対する見解を5月に発表しているが、広く正しい理解が得られていないとして追加見解を発表した。
見解では、検査の基準値には「基準範囲」と「臨床判断値」の2種類があり、両者の意味は全く異なると指摘。
人間ドック学会と健保連が公表した「基準範囲」は、健常人から得られた検査値を多数集めて、その分布の中央値95%信頼区間を含む数値範囲を統計学的に算出したものと説明。検査結果を評価する物差しの数値と考えてよいが、疾病の診断、将来の発症予測、治療の目標などの目的に使用することは難しいとした。
一方、各専門学会が提唱している検査の基準値は「臨床判断値」と指摘。日本動脈硬化学会の脂質異常症の診断基準を例に挙げて、疫学的調査研究に基づいて将来の疾患の発症が予測され、「予防医学的な対応が要求される検査の閾値」とした。
その上で、基準範囲の上限値・下限値と臨床判断値が異なるのは当然であるとし、「疾病の診断、将来の発症予測、治療の目標に用いられるべきは臨床判断値である」と強調した。