【質問者】欠畑誠治 太田総合病院中耳内視鏡手術センター センター長
【今後,わが国でも持続陽圧呼吸療法(CPAP)の代替治療として普及していくと考えられる】
疫学調査によると,わが国において治療が必要とされるOSAの患者数は900万人と推定されています。中等症以上においてCPAPが治療の第一選択とされていますが,保存療法であるCPAPは継続性が治療の奏効に影響します。これまでの報告では治療の受容,継続性(50~70%)は高くないとされ,有効な代替治療が求められています。
舌下神経電気刺激療法は,OSAの機能要因である咽頭開大筋群の反応性に着目した治療法です。Inspire Medical Systems社のInspire2(2018年にわが国の薬事承認を取得)は,肋間に埋め込まれたセンサーリード先端の圧センサーが吸気相を検知し,パルスジェネレーターから刺激リードを介して運動神経である舌下神経に電気刺激を送り,吸気時に気道を拡大し,閉塞を防止します。2014年には多施設前向き臨床試験(STAR trial)が行われ,登録された929人の参加者のうち,最終的に124人(年齢54.5歳,男女比83:17,白人97%,BMI 28.4)がフォローされ,12カ月の無呼吸低呼吸指数(AHI)の中央値は,29/時から9/時へと68%減少,その後,3年後,5年後のフォローアップによる有効性が報告されました。2019年にはSTAR trial, German cohort,US cohort,ADH ERE registryの計584名の成績がまとめられ,外科治療基準で77.1%の効果が報告されました。
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