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下部尿路結石(膀胱結石・尿道結石)[私の治療]

No.5203 (2024年01月13日発行) P.40

柴田裕貴 (千葉大学医学部附属病院泌尿器科)

五島悠介 (千葉大学医学部附属病院泌尿器科)

坂本信一 (千葉大学医学部附属病院泌尿器科准教授)

市川智彦 (千葉大学医学部附属病院泌尿器科教授)

登録日: 2024-01-14

最終更新日: 2024-01-09

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  • 膀胱結石には膀胱原発の結石と,上部尿路から移動してきた結石がある。前者は,排尿障害(神経因性膀胱・前立腺肥大症等)や膀胱内異物,膀胱憩室等の背景疾患を伴う。後者は,尿管より尿道の内径のほうが大きいため基本的に自然排出されるが,上記背景疾患を合併する場合,膀胱内で停滞し増大する可能性がある。
    尿道結石は,大半が腎・尿管・膀胱原発の結石が尿道内へ移動し嵌頓したもので,原発性(尿道憩室・尿道狭窄等による)の頻度はきわめて低い。膀胱結石の男女比は4.4:1と男性が多く,60歳以上に好発する。女性は尿道が短いため,尿道結石は稀である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    膀胱結石:下腹部痛,排尿時痛,残尿感,頻尿,肉眼的血尿等。脊髄損傷等では無症状の場合もある。

    尿道結石:排尿困難,疼痛,会陰部違和感等。尿閉をきたし,緊急での処置を要する状況もありうる。

    【検査】
    〈画像検査〉

    超音波,腎尿管膀胱単純X線(KUB),CT等を行う。感染結石の場合,カルシウム含有率が低いためKUBで確認しにくい場合がある。超音波,特にCTは水腎症や憩室,腫瘍,異物,膀胱壁肥厚,前立腺肥大等,背景疾患の確認にも有用である。

    〈膀胱鏡検査〉

    比較的侵襲性はあるが,確実性が高い。尿道狭窄や膀胱腫瘍,膀胱憩室の確認も可能。小サイズの結石を抽石したり,後部尿道結石を膀胱内へ押し戻したりするのにも活用できる。

    〈尿検査〉

    尿路感染症合併の有無や,血尿の様子を確認する。術前に尿培養検査を行うことも,周術期感染症リスクの観点から重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    下部尿路結石を有する場合,排尿障害を合併していることが多い。特に男性は,前立腺肥大症や前立腺癌による排尿障害をまず考慮する。結石治療のみならず,排尿障害の精査・加療も並行して進めることが重要である。

    治療方針は,経尿道的砕石術を中心に,全身状態や結石の状況をみて個別に検討する。全身状態的に砕石治療が困難な場合は,鎮痛薬等による対症療法を考慮する。

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