No.5205 (2024年01月27日発行) P.51
河野博隆 (帝京大学医学部整形外科主任教授)
篠田裕介 (埼玉医科大学医学部リハビリテーション科教授)
登録日: 2024-01-26
最終更新日: 2024-01-23
【質問者】河野博隆 帝京大学医学部整形外科主任教授
【移動機能の維持により,QOLのみならず生命予後も改善する可能性がある】
これまで,がんと診断されるとがん治療が最優先となり,がん治療やがんの進行に伴い運動機能や移動機能が低下することは当たり前と考えられてきました。そのため,積極的な運動器管理は行われてきませんでした。しかし,運動機能・移動機能を維持することは,QOLの維持だけでなく,がん治療上のメリットもきわめて大きいと考えられます。
前提として,移動機能はヒトのQOLを考える上で非常に重要であることは言うまでもありません。最も汎用されている一般的なQOL評価指標であるEQ-5D(Euro QOL 5 Dimensions)においても,移動の程度(歩き回ること)が悪い場合に減点が最大になります。改正がん対策基本法では,療養生活の質の維持向上を基本的施策として掲げていますが,移動機能の維持は,就労も含めた日常生活を普段通りに行えること,すなわちQOL維持に直結します。当然,趣味のスポーツを継続してもかまいません。
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