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視神経炎[私の治療]

No.5206 (2024年02月03日発行) P.44

石川 均 (北里大学医療衛生学部視覚機能療法学教授)

登録日: 2024-02-04

最終更新日: 2024-01-30

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  • 視神経炎は典型的視神経炎と非典型的視神経炎に分類1)される。前者は眼球運動時痛を伴い亜急性(数時間~数日)に視力低下を生じ,重症度は様々であるが,数週間以内に回復が始まる。主に多発性硬化症(MS)に関連した視神経炎,MSと同じ免疫学的機序で発症する特発性視神経炎が含まれる。後者は典型的視神経炎の臨床的特徴が当てはまらない視神経炎で,数週間以内に回復が始まらない,主に視神経脊髄炎(NMOSD)に関連した視神経炎,サルコイドーシス,膠原病や血管炎に関連したものである。

    ▶診断のポイント

    多くの場合,中心部の視力障害,眼球運動時痛を主訴に来院し,対光反射異常を認める。画像検査にて,他の原因(圧迫性,虚血性,遺伝性,中毒性)による視神経疾患が除外され,採血にてアクアポリン4(AQP4)抗体,ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体などの特異抗体を確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    典型的視神経炎では総合ビタミン剤内服で経過をみる例もある。非典型的視神経炎のほとんどは視力の低下が著しく,積極的治療を必要とすることが多い。急性期にはステロイドの大量点滴,AQP4抗体除去のための血漿交換,大量免疫グロブリン点滴を併用して行う。低用量のステロイド内服は効果がなく,再発や瞭眼への発症の可能性も考慮し勧めない。急性期治療後は再発に備えステロイドの内服を継続することが多い。さらに再発防止には保険収載はないもののアザチオプリンやシクロスポリンなどの免疫抑制薬を投与することもある。近年,再発予防に積極的に生物学的製剤を使用することが増え,ステロイドの長期投与による副作用防止に対し非常に有効である。

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