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ターナー症候群[私の治療]

No.5208 (2024年02月17日発行) P.56

足立夏帆 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2024-02-20

最終更新日: 2024-02-13

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  • ターナー症候群(Turner syndrome:TS)は,女性においてX染色体1本の全体もしくは一部の欠失により発症する先天性疾患である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    新生児期は先天性心奇形(大動脈縮窄症,大動脈二尖弁など)やリンパ浮腫,乳児期から学童期は低身長,思春期以降は卵巣機能不全による無月経や不妊がTSを疑う契機となる。そのほか,翼状頸,毛髪線低位,外反肘といった身体所見がみられる。

    【検査所見】

    G分染法により診断する。TSの約半数が45,Xである。そのほか,45,X/46,XX,45,X/46,XYのようなモザイク核型,環状染色体やイソ染色体を有する患者もいる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【低身長】

    TSの低身長は,X染色体上のSHOX遺伝子の半量不全によるもので,未治療の場合,最終身長は140cm程度である。身長が同性・同年齢の標準値-2SD以下,もしくは年間成長速度が2年以上にわたり標準成長率-1.5SD以下で,骨年齢が15歳未満のときは成長ホルモン治療の適応となる。成長ホルモン負荷試験は不要である。成長ホルモン治療開始後は,耐糖能異常や甲状腺機能異常といった副作用の有無やIGF-Ⅰの値を定期的にチェックする。

    【高ゴナドトロピン性性腺機能低下症】

    TSで卵巣機能不全となるのは,胎児期から卵巣における卵母細胞の減少が加速しているためである。最終的に約90%で性腺補充療法が必要となる。12歳以降も思春期が発来せず卵胞刺激ホルモン(FSH)が高値の場合は,エストロゲン補充療法を行う。治療の目的は,二次性徴の誘導と骨密度獲得である。150cm程度の最終身長獲得のためには,身長が140cmに達してから補充療法を開始することが望まれるが,適切な骨密度獲得のためには開始を遅らせすぎないことが大切である。正常の思春期と同様に二次性徴がゆっくり進行するよう,補充量は段階的に増量していく。

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