【質問者】遠藤俊毅 東北医科薬科大学医学部脳神経外科教授
【頻度の高い足根管症候群について解説する】
絞扼性末梢神経疾患は数多くありますが,字数の関係で1つの疾患について触れさせて頂きます。絞扼性末梢神経疾患の中で代表的な疾患は手根管症候群ですが,足根管症候群は積極的に治療している施設が少ないと思います。足根管症候群は,足関節内果近傍にある足根管で脛骨神経が絞扼され,足底にしびれや異物付着感,冷えなどを起こす疾患です。
原因は,足根管部にガングリオンなどの腫瘤性病変が生じて起こるものもありますが,近年のレビューでは特発性が最も多く,過小評価されている可能性が示唆されています1)。糖尿病患者では足根管症候群を併発しやすいことは重要ですが,糖尿病性神経障害と症状が似ているため,見落とされやすいことが危惧されています。
Rotterdam Diabetic Foot Studyに参加した糖尿病患者のうち,足根管症候群への罹患群(n=113)とその他の群(n=303)を比較した前向き研究によると,足根管症候群が糖尿病に併発した場合,両側例が多く(69例),糖尿病性の足部潰瘍発生率が有意に高いことが示されました2)。本論文では,糖尿病患者が足底のしびれを訴えた場合,足根管症候群の鑑別が必要であることを指摘しています。
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