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糖尿病非合併非アルブミン尿性CKD患者へのSGLT2阻害薬の注意点は?

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  • では,どうすればよいのでしょうか。ごく私的な見解としては,年齢と他のリスクファクターを考慮します。また,年齢が若ければ年1mL/min/ 1.73m2の差が10年で10mL/min/1.73m2になってしまい,無視できなくなりますし,肥満があるような症例では減量などの効果も期待して使いやすいと考えています(肥満はCKDのリスクファクターとしては上位にくると思いますが,最近あまり注目されていない印象があります)。心疾患があれば,原則として使いたいと思います。

    逆に80歳超で,そもそも生命予後が限定的な場合には使用をためらいますし,食が細い高齢者であれば,尿中に200~400kcal程度カロリーを排泄させることがよいのか,と懸念しております。ADLが悪く,おむつ着用などの場合は,尿路感染症の懸念から使いにくいと考えています。

    そうすると筆者の選択は,①微量~顕性アルブミン尿→原則使う,②使えない理由を考える(使えない理由がない限り使う),③正常アルブミン尿→使う理由を考える(使う理由があれば使う)です。

    原疾患については,日本腎臓学会のrecommendationにもあるように,「DKDには積極的に使う」「尿たんぱくがあるCKDには使う」「尿たんぱくがないCKDには慎重に」という意見に賛成です。腎硬化症がかなりヘテロな疾患であるため,おそらく尿たんぱくが多ければ効くのではないかと個人的には思っています(ぜひBiopsy Proven Nephrosclerosisでのデータを見たいです)。

    よく質問されるエンパグリフロジンとダパグリフロジンの使い分けについては,意識しておりません(直接の比較論文が存在しないため)。そうなると,たとえばDPP-4阻害薬を処方していて合剤に変更したいときには考慮する,という程度です。

    【文献】

    1)Kidney Disease:Improving Global Outcomes (KDI GO) CKD Work Group: Kidney Int. 2024;105(4S): S117-314.

    【回答者】

    長澤 将 東北大学病院腎臓・高血圧内科講師

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