国土交通省の「病院等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン検討会」は1月30日に会合を開き、取りまとめ素案を巡り議論した。同省は3月にGLの策定を行う予定だが、「病院経営への介入」を争点に調整は難航している。
国土省が示した素案は、対象を「すべての病院」とし、適用は原則2015年4月1日からと明記。病院と資産運用会社の信頼構築のため、「資産運用会社は『病院関係者と調整できる』専門的な能力を有する者を配置」「医療法などを遵守し事前に十分な相談を実施」することが盛り込まれた。ヘルスケアリートとは投資家からの資金で資産運用会社が病院などを建設、賃料を分配する投資商品で、病院側には「資金調達方法の多様化」などのメリットがあるとされる。
一方、医療関係者からは「大家」のリートが新規事業の制限や事業計画の承認を求めたりするなどの病院経営への介入を懸念する声が多い。こうした点を踏まえ、素案では事前相談の必要性を明記し、考え方として、(1)資産運用会社が「医療法などに抵触するか」不明な点がある場合には事前に国交省などに相談する、(2)基本的にすべての事項について事前に国交省などに相談する─の2案を提示。松原謙二委員(日医)は「リート活用に反対ではないが病院は命を扱う場。病院側の懸念を払拭するためにも、事前にあらゆる事項を相談すべき」と強調した。