眼圧上昇の原因を他の疾患に求めることのできない原発緑内障に対して,他の眼疾患や全⾝疾患,あるいは薬物使⽤が原因となって眼圧上昇が⽣じる緑内障を続発緑内障と呼ぶ。代表的な続発緑内障には,落屑緑内障,ぶどう膜炎性緑内障,血管新生緑内障,色素緑内障,ステロイド緑内障,悪性緑内障などのほか,ICE(iridocorneal endothelial)症候群,眼外傷後の続発緑内障などが挙げられる。
日常診療で最もよく遭遇する落屑緑内障は,白いフケあるいはかつお節様の落屑物質が眼球内の水晶体囊,チン小帯,瞳孔縁,隅角線維柱帯などに沈着していることから判別できる。その他の続発緑内障も,眼圧上昇とともに前・後眼部の炎症や充血(ぶどう膜炎性緑内障),虹彩や隅角における新生血管(血管新生緑内障),強い色素沈着(色素緑内障)やステロイド点眼・内服薬使用歴(ステロイド緑内障),内眼手術に続く浅前房・高眼圧(悪性緑内障),ICE症候群の前眼部所見(虹彩や角膜内皮細胞の異常),隅角離断(外傷性緑内障)などの所見から診断することができる。
可能な限り原疾患の治療を第一とするとともに,眼圧上昇機序を把握して治療法を選択する。続発緑内障の眼圧上昇機序とその代表的な緑内障は,以下のように分類される。
〈続発開放隅⾓緑内障の眼圧上昇機序〉
①線維柱帯と前房の間に房⽔流出抵抗の主座がある:⾎管新⽣(開放隅⾓期)など
②線維柱帯に房⽔流出抵抗の主座がある:ステロイド,落屑物質,ぶどう膜炎,⼿術,外傷など
③シュレム管より後⽅に房⽔流出抵抗の主座がある:内頸動脈海綿静脈洞瘻など
〈続発閉塞隅⾓緑内障の眼圧上昇機序〉
①瞳孔ブロックによる:膨隆水晶体など
②瞳孔ブロック以外の原因による虹彩-⽔晶体の前⽅移動による直接隅⾓閉塞による:水晶体脱臼など
③⽔晶体より後⽅に存在する組織の前⽅移動による:悪性緑内障など
④前房深度に無関係に⽣じる周辺虹彩前癒着による:⾎管新⽣(閉塞隅⾓期),ぶどう膜炎,⼿術,外傷,ICE症候群など
残り1,247文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する